私たちの体には、外部からウイルスなどの異物が入ってきた際に、抗体を作って異物と戦う「免疫」という機能があります。
アレルギーはこの免疫反応が、特定の物質に対して過剰に起こる反応のことをいいます。
アレルギーが起こる原因は解明されていませんが、生活環境の変化や特定の物質にさらされているために起きる、もしくは遺伝因子により起きるなどともいわれています。
アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と呼び、下記のものが有名です。
- スギやひのきの花粉などの花粉
- 食物や薬物
- ダニ
- ハウスダスト
上記のアレルゲンに、免疫が異常反応をおこし、かゆみや痛み、時には呼吸困難などの発作を引き起こします。
一般にアレルギー諸疾患はアトピー素因が遺伝子に組み込まれた体質を受け継いだ人に選択的にあらわれます。選択的ですからアトピーにならない方もいます(つまりアレルギー性疾患の発症には、遺伝因子と環境因子が影響します)。
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎のアトピー素因の定義は
1)自分の今までの人生で(既往歴)、
もしくは血のつながった人で(家族歴)、
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎・結膜炎
- アトピー性皮膚炎
のうちのいずれか、あるいは複数の病気を持つ、もしくは
2)体の中でIgE抗体を産生しやすい素因
とされています(IgE抗体については下記参照してください)。
アトピー素因を持つ人は、アレルギー諸疾患(下記疾患)を生じる免疫的な傾向を持つ状態を示します。
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎・結膜炎(代表的なものとして花粉症)
- アトピー性皮膚炎など
その他、アレルギー性胃腸炎、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹があげられます。また関節リウマチといった膠原病や円形脱毛症も自己免疫疾患による一種のアレルギー症状になります。
免疫とは細菌やウイルスなどから体を守るシステムです。
免疫は通常、細菌やウイルスなどの病原体から体を守るために働きますが、アトピー素因の人では、それが過剰に働いてしまいます。
そのため、ダニやハウスダスト、スギやイネ科の花粉や、場合によっては卵白、牛乳に接したとき、過敏に反応し結果的に、気管(空気の通り道)、鼻、眼、皮膚などで炎症を起こす体質を持っているのです。
アトピー素因はある程度遺伝するといわれています。ある程度遺伝するとは、原因となる遺伝子が複数存在するため、いくつかの遺伝子が組み合わさらないとアトピー素因として発現しないからです。
また、実際の発病には生活環境も関係してくるので、アトピー素因によるアレルギー諸疾患は、遺伝するとは言えないのです。
本人や家族がぜんそくや花粉症がある場合には、アトピー素因をもっているので、アトピー性皮膚炎を生じやすいと思われます。
また、IgE抗体とは、このような免疫が過剰に働く状態を起こす物質の1つで、リンパ球というある種の白血球細胞から出されます。
検査
皮膚科などでは、治療の前に、アレルゲンの特定をするための検査(パッチテストや血液検査)を行います。1つだけでなく、複数のアレルゲンに対して反応がある方も多いため、複数の反応を一度に検査します。
当院では、血液検査でアレルゲンに対する抗体(IgE抗体)を測定しております。
治療
治療については、何に対するアレルギーかによって様々ですが、最も基本となる治療は原因抗原の回避と除去です。花粉症等の場合など、薬物による対症療法や、一部免疫改善の療法もあります(*舌下免疫療法については当院ではまだ行っておりません)。
まずは、検査をして、また、生活環境などもお伺いしたうえで、適切な対応をいたします。ご心配な方も遠慮なく当院にご相談ください。