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Journal of Allergy and Clinical Immunology 2020 において、国立成育医療研究センターの松本健治氏と斎藤博久氏は、新型コロナウイルス感染症患者の中の気管支喘息患者の割合が少ないこと、さらに気管支喘息の合併は新型コロナウイルスの重症化と相関しないことを報告しました。
世界3カ国(中国、米国、メキシコ)の8つの地域で行われた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の発症や重症化に関連する背景因子を検討した論文を解析した結果、その地域での喘息の人の割合と比べて、新型コロナウイルス感染者では気管支喘息を持っている人の割合が、数学的な差をもって、少ないことを見いだしました。
また、新型コロナウイルス感染症の重症者には、有意に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や糖尿病のを持っている人が多いのに対し、気管支喘息を持っている人は重症化とは相関していませんでした(関係がありませんでした)。これらのことは、気管支喘息患者が新型コロナウイルスに感染しにくい可能性を示唆しているとのことです。
新型コロナウイルスが感染するには、ウイルスが結合するタンパク質(アンジオテンシン変換酵素2受容体:ACE2R)が必要です。
喘息はアレルギーの病気ですが、喘息ではアレルギーの病気に関連するサイトカイン(ホルモンのように働く大きさの小さいタンパク質)のうちインターロキシン13が上昇します。そしてこのインターロイキン13は、上述のアンジオテンシン変換酵素Ⅱ受容体の発現を低下させることがわかっています。
逆に気管支喘息患者が産生しにくいと考えられるサイトカインである、インターフェロンがACE2Rの発現を増やしてしまうことも報告されています。
(以上国立成育医療センターHPより抜粋)
ただし、気管支喘息の方は、一般に病原体に感染すれば、どんな病原体であっても、感染しないときよりも喘息が悪化することは明白です。またマスクは予防に有効であることもこのごろ研究によりデータをともなってわかってきました。(JAMA誌2020年7月14日号リサーチレターでの報告)
暑い季節になりますが、他人と2m以上の間隔ではマスクをはずして、2m以内の距離ならびに外気の通気のない屋内では、マスクをつけ、手洗いを徹底しうがいをこまめにするなどして、感染から身を守りましょう。