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不整脈の治療の目的は2つあります。
ひとつは、致死的な不整脈による突然死を予防すること。
もうひとつは不整脈による動悸やめまいなどの症状を抑え、よりより生活をおくれるようにすることです。
抗不整脈薬は、不整脈の出現する頻度を減らすことを最終目標に開発されてきました。しかし、調査などによると、患者さんの最終的な寿命延長などの有効性については、現在あまり証明されていません。
近年、体に植込み型の除細動器(不整脈が出たときに電気ショックで止める装置)や、カテーテルによるアブレーションの技術が導入され、不整脈治療をとりまく状況は大きく様変わりしました。しかし、不整脈の起源によってはアブレーションが容易ではない場合もあり、このような患者様には抗不整脈を使うことが勧められます。
このように、抗不整脈による薬物治療の必要性が残されているのが現状です。
抗不整脈薬を使う場合には、確認すべき原則が2つあります。
それは不整脈の種類にかかわらず、器質的心疾患があるか否かと、腎障害があるか否かであります。
抗不整脈薬には、非常に憂慮すべき副作用があり、
ひとつは心臓の働きを抑制する副作用であり、もうひとつは催不整脈(薬が元々ある不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を起こしたりすること)の副作用です。
器質的心疾患があると、心抑制と催不整脈の副作用が出やすくなります。
また、腎臓排泄型の薬は、腎障害があると排泄が遅延してしまい、血中濃度が過度に上昇し、結果的に有害反応のリスクが高まります。
上記のような点を十分理解したうえで、抗不整脈治療には、目的を明確にした安全な薬物治療が求められます。
(日本内科学会誌、114 巻、2号、158頁~164頁、2025年)